教育業界の中で、キャタルが目指している方向性とは
教育業界のマーケット動向は意識していますが、他社と比較して競うというよりも、目の前にある組織と生徒をどう良くしていくかを常に考えています。キャタルのミッションを自走させるために、僕のバックボーンであるエンジニアリング・経営学・教育哲学の3つを融合させ、代表の三石と議論を重ねながら進めているところです。私たちは「技術ありき」ではなく、教育の本質を見据えたテクノロジーの活用を大切にしています。
ご自身の想いについて
組織人としての自分と、教育に対する個人としての情熱。その二つの軸を両輪として持っています。ひとりひとりの幸せを実現しながら組織の目標を達成していくことが理想です。かつての自分や、学びに悩む子どもたちを重ね合わせると、教育は本来もっと楽しいもののはず。時代遅れの学びのスタイルを変えていきたいという想いが、今も原動力になっています。
キャタルのテクノロジー開発の背景を教えてください。
もともとキャタルは英語塾としてスタートしましたが、現在は「英語教育のソリューションカンパニー」として、テクノロジーの力で教育を変えていくことを目指しています。私自身、東日本大震災をきっかけに「教育のIT化は不可欠」と強く思ったのですが、当時はどうアクションしてよいか分かりませんでした。だからこそ、教育とテクノロジーの両方を理解するチームを一からつくろうと考えました。採用や体制づくりには苦労もありましたが、同じ志をもつメンバーと出会えたのは大きな財産です。
キャタルが取り組むデジタル化の特徴とは。
教育業界では「とりあえずデジタル化する」ことが目的化してしまい、技術ありきのプロダクトばかりが生まれていました。私たちが取り組むのは単なるシステムの開発ではなく、“学びを支えるインフラとしてのデジタル”です。教育DXを進めるために、仕組みそのものから教育体験を再設計しています。
Rewrites・Catallogの開発をどう位置づけていますか。
Rewritesは「添削ができる人材が足りない」という課題から生まれたアウトプット支援の仕組みです。ここ最近ではAIを導入することで、学習者一人ひとりに最適化されたフィードバックを即時に届けられるようになりました。そして、Catallogは講師の業務管理システムであると同時に、生徒のレッスン体験を成立させるプラットフォーム。学習データを蓄積し、エビデンスに基づいて改善できる構造を実現しました。エビデンスに基づく教育が進みにくい業界の中で、その仕組みを形にできたのは大きな一歩だと感じています。
CatallogとRewritesが連携することで、学習データをもとにカリキュラムが進化し、英語学習全体を“考えなくても最適化される体験”へと導いています。技術を正しく使えば、AIは人間の代替ではなく、学びを加速させる「ジェットパック(加速装置)」になれる。逆に間違って使えば、間違って進んでしまいます。AIを含んだテクノロジーを正しく使うというのが、私達の使命だと考えています。
今後、キャタルとしてどのような未来を描いているのでしょうか。
私たちが目指しているのは、テクノロジーを“人の代わり”にすることではなく、学びを加速させる「推進力」として使うことです。AIをうまく活用すれば、学習者一人ひとりに合わせた最適なフィードバックや学習環境を、これまでにないスピードと精度で提供できるようになります。RewritesやCatallogのような仕組みは、そのための“教育のインフラ”だと考えています。
英語教育の現場では、バイリンガル講師が十分に確保できない地域も多くあります。AIのサポートによって、どんな場所でも高品質な学びを届けられるようになることは、社会的にも大きな意義があると思います。個別最適化された学習は、これからの教育にとって当たり前のスタンダードになるはずです。その流れを私たちが先陣を切ってつくっていきたいですね。
また、教育のDX化という言葉が一人歩きする中で、私たちは“人の成長”という原点を見失わないようにしたいと考えています。AIが担うべき部分、人が関わるべき部分を丁寧に見極め、両者のバランスを最適化することで、学びはより自由で楽しいものになる。そう信じています。
キャタルというチームには、教育を愛する人とテクノロジーを信じる人、どちらもいます。エンジニアリングと教育哲学、経営的視点が交差するこの環境だからこそ、誰も実現できなかった新しい学習体験を形にできる。これからも、目の前の生徒の成長を見つめながら、学びの在り方そのものをアップデートし続けたいと思っています。