慶應義塾ニューヨーク学院(以下慶應NY学院)は、2019年度よりラルフ・タウンゼント氏(以下タウンゼント学院長)が学院長に就任されました。世界の数々の名門ボーディングスクール(寮制学校)の学院長を歴任してきたタウンゼント氏が目指す学院像は「欧米一流校をモデルに、世界標準に適合した学校」(2019年慶應NY学院理事長声明より引用)。これにともない、入試内容も含めいくつかの改革が発表されています。
まずは、タウンゼント学院長の経歴をご紹介します。
目次
世界の伝統的なボーディングスクールを熟知
タウンゼント学院長はオーストラリア生まれで、1985年から4年間、ウイリアム王子も卒業したイギリスの名門校イートン・カレッジで教鞭に立ち、1989年に、世界のエリート養成校のひとつであるオーストラリアのシドニー・グラマー・スクールの学院長に就任。10年後、イギリスに戻りオウンドル・カレッジの学院長、2005年~2016年はウィンチェスター・カレッジの学院長として活躍されました。
これらはいずれも伝統的なボーディングスクールの名門で、政治家や経済学者など世界でも名高い卒業生を輩出しており、学力はもちろん規律が厳しいことでも知られています。
タウンゼント学院長は、これまでの経験を活かし、慶應NY学院にもこれらの名門ボーディングスクールの特徴を取り入れ、より高い水準の教育へと進化させるための改革が行われているところです。
日常会話は英語
日常会話は英語に
慶應NY学院は生徒のほとんどが日本人ということもあり、今まで寮や学内での日常会話は日本語でした。それが「全生徒が流暢に英語を話せるように」英語でのコミュニケーションに変わりました。授業も8割が英語で行われるようになりました。
小論文から日本語基礎テストへ変更
入試でも日本語力を重視しなくなりました。今までは入試の小論文で600字以内の難しいトピックのエッセイが出題されていましたが、改革後は、日本語基礎テストという名前となり、日本語を勉強している外国人が受験する日本語能力試験のような、非常に基本的な問題になりました。慶應NY学院ウェブサイトでは「世界各国さまざまなバックグラウンドで教育を受けてこられた受験生の方がどの程度の日本語力があるかということを参考にさせていただくという目的で実施する」と説明されています。
英語ネイティブな生徒が有利
今までの小論文の試験は、英語を主言語としていたため、国外で生活している人や母国語が日本語ではない人にはかなりハードルが高いものでした。しかし日本語力を「参考程度」にすることで、アメリカなど海外の現地校に通っている学生や、インターナショナルスクール生など、より英語ネイティブな生徒を増加させる目的があると思われます。これは、アメリカや海外の大学への進学率を高めることで慶應全体の国際化を図ることと、実績を積んで一流のボーディングスクールの水準へと上げていくことが目標だからでしょう。
ハウスシステムの採用
協調性や責任感、学力向上がねらい
イギリスのボーディングスクールには「ハウス」というシステムがあります。これは、学年や先生・生徒に関わらず、学校にいる全員を縦割りの「ハウス」というグループに分け、勉強だけでなく寮での食事など学校生活全体をこのハウス単位で行います。
上級生は下級生に勉強や生活の規律を教えたり、先生や職員も一緒になって協力しあい自分のハウスのために貢献します。イギリスではこのハウスへの帰属意識が大変高く、自分のハウスに愛情と誇りを持って生活し、卒業後も同じハウスだった人とのつながりは強いです。
このシステムを慶應NY学院にも取り入れ、協調性や責任感を養います。さらに寮の中でも夜のスタディホールでの勉強時間を増やして学力の向上を目指します。
慶應NY学院のハウスシステム
慶應NY学院のウェブサイトには、ハウスシステムについて以下のように掲載されています。
寮生は300人程、通学生が30人ほどいます。どの生徒もハウスのメンバーです。ハウスは6つに分かれ、ハウスK, E, I, O, N, Yとなっています。各ハウスには年齢の違う50人ほどの生徒がおり、ジュニアとシニアで構成された家族と成っています。女子と男子の寮に分かれています。
それぞれのハウスには、ヘッド・オブ・ハウス(ハウス長)がおり、そこに住む生徒の毎日の生活、学業面、その他の学習面や社交面など、生活全般について責任を持ちます。保護者がまず連絡するのは、ハウス長ということになります。ハウス長をレジデント・アドバイザーが補佐し、また教師のチームがアドバイザーとしてつき、スタディホール(補習)時間にハウスを訪れ、生徒たちと交流します。こうして生徒は常に周りに自分をよく知る人たちに囲まれることになります。
食堂のテーブルは、ハウス別に家族的な雰囲気を作るように配置されています。どのテーブルにも大人がいて、会話をしたり、テーブルマナーを学びます。
2021年より一般入試がなくなる
これまで、秋のAO入試、冬の一般入試、春のAO入試と、一年に3回の受験機会がありました。これが、2021年より、秋と春のAO入試だけとなり、一般入試はなくなります。従来の一般入試は学校での成績は見ずに試験での学力と面接で判断するものでした。しかし今後改革をしていくうえで、より優秀な生徒を獲得するためには、学校でコンスタントに実績を出してきたコツコツ努力型の生徒を求めていると言えます。これにともなって、2021年からの受験は春と秋のAO入試の、年に2回の機会となります。
教科別!入試はこう変わった
入試は2019年からすでに変わっています。
これまでの試験が2019年からどう変わっているのか、AO入試や面接について詳しく知りたい方は記事の下部にある資料をダウンロードしてご覧ください。
慶應NY学院に合格するために必要な対策は?
まずは学校の成績
一般入試がなくなることでもわかるとおり、受験勉強の偏った学力ではなく、バランスよくコンスタントに成績を取れる生徒の方を評価するというスタンスです。慶應NY学院の目指している姿にマッチする、海外の大学にも進出するようなより伸びしろがある生徒が求められています。
高い英語力
日常会話を英語にしたり、授業の8割を英語にするなど、より英語の重要性が高まっています。英検は2級以上が目安で、TOEFL ibt も取ることを推奨します。
数学力も
これからの時代は、今まで以上に数学力が必要になります。英語と同様に、数学も世界共通の言語と言えます。慶應NY学院の入試でも、数学力がある生徒が望まれています。
面接重視
保護者面接がなくなり、本人の実力のみで判断されるようになりました。自分がいかに慶應NY学院にフィットしているか、入学後にどのように飛躍できるか、主体性を持って語れることが重要です。
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