福岡を代表する進学校としても有名な西南学院中学校・高等学校。習熟度や進度の違いに配慮した多彩なカリキュラムや、年2回の「ミッションウィーク」を実施、英語の本の多読、全生徒がオンラインで外国人講師と1対1で英会話を行うなど、特に実践的な英語力を育てる特別なプログラムが用意されています。「国際社会に奉仕する創造的な人格を育てる」西南学院の魅力に迫ります。
西南学院中学校高等学校の概要
西南学院中学校・高等学校は、福岡県福岡市早良区百道浜一丁目にあるキリスト教系の私立中学校・高等学校です。同校はアメリカ南部バプテスト連盟に所属する宣教師、C・K・ドージャーにより創られたミッションスクールである私立中学西南学院を前身として、1916年に創立されました。同校では「与えられた、かけがえのない<いのち>を大切にする」「愛の精神を養い、隣人（他者）に仕える」「賜物（たまもの）を生かし、平和をつくり出す」ことを教育目標として掲げつつ、進学校として習熟度や進度の違いに配慮した多彩なカリキュラムを用意するなど生徒の学力向上にも力を入れています。
中高一貫教育とともに高等学校の外部募集も実施しており、内部進学よりも外部募集への応募で高等学校に入学する生徒数が多く、福岡を代表する進学校としても有名となっており、併設校の西南学院大学には特別推薦制度による進学が可能です。
西南学院中学校高等学校の基本情報
学校属性：私立（キリスト教系）
建学の精神：「Seinan,Be True to Christ（西南よ、キリストに忠実なれ）」
系列校：早緑子供の園（保育所）・舞鶴幼稚園・西南学院小学校・西南学院大学
教育体制：中高一貫校
生徒数：男子566名 女子738名（2019年5月現在）
共学/別学：共学
学期：3学期制
学費：1,014,600円（初年度納入金額）
学生/教員比：
帰国子女の受入：中高ともにあり
国内大学進学実績：九州大学・北海道大学・関西学院大学・早稲田大学など（2019年）
海外大学進学実績：なし
西南学院中学校高等学校の特徴
いのちに対する価値観とグローバルな判断力を磨くキリスト教教育
同校では建学精神の「西南よ、キリストに忠実なれ」という言葉に基づいたキリスト教教育が行われているのが特徴です。在学中常に生徒たちの傍には聖書の教えがあり、彼らの学校生活は聖書の教えを中心として繰り広げられます。中でも世界や社会の抱える問題について考えるチャペル・聖書の授業は、西南の使命・生命と位置付けられ、週に1度中学校では全校生徒が、高校では学年ごとにチャペルへ集まり礼拝を行う習慣が根付いています。
同校では、全学年必修の科目として週1時間の聖書の授業が設定されており、世界の諸分野に大きな影響を与え続けてきた聖書に記されている言葉を通してキリスト教社会の価値観を学び、生き方・価値観・倫理観について学んでいきます。個人や社会のあり方を考え、自他のいのちに対する価値観を磨き、生徒たちの判断力を育てることを目標として組み込まれている授業です。
元々はキリスト教に馴染みのない生徒がほとんどですが、「聖書の物語を知ることで新しい発見がたくさんある」「キリスト教の立場から現代の社会問題を考えるのは興味深い」といったポジティブな感想を持って授業に取り組んでいます。中高を通して教室礼拝やチャペルなどで讃美歌を歌う機会も多く、キリスト教を身近に感じやすい環境づくりがなされているのがその理由と考えられます。
年2回実施されるミッションウィークで共生や平和について考える
西南学院中学校・高等学校では豊かな人間性を学んで自分たちの将来を具体的に考えることを目的に、外部から特別講師を招いて「ミッションウィーク」を年2回実施しています。ミッションウィークでは、共生や平和（飢餓・紛争問題）などのテーマに触れ、聖書・キリスト教に立脚した生き方・働きの世界を考えるきっかけを与えています。
2019年度の高等学校前期ミッションウィークでは、5月22日から3日間、日本バプテスト連盟小倉南教会牧師の谷本氏を校内のチャペルに迎え、講義が行われました。「生きているってどんなこと」をテーマに生きる意味について生徒たちに問いかけ、歌や演奏を交えながら「生きるとは何か」という大きなテーマに応えました。「本当の自分なんてない、（中略）どの自分も自分で、悪い自分を切り捨てる必要はない」「生きてると感じるのはその意味がわかるときを待つことだ」「自分が知っている世界はほんのごく一部に過ぎず、今見ている風景がすべてではない」「人生において驚くべき瞬間が必ずやってくる」など、谷本氏から発せられる数々のメッセージに生徒たちは今後の人生を生きる勇気を与えられ、それぞれが人生観についてじっくりと考える3日間となりました。
ネイティブ講師と1対1で行うオンライン英会話
西南学院中学校・高等学校の英語の授業では、特定のカテゴリ・ジャンルにしばられることなく、生徒自身の興味に沿った英語の本の多読がされています。この多読によって英語力・語彙力の向上を目指すとともに、全生徒がオンラインで外国人講師と1対1で英会話を行う実践的な英語力を育てる特別なカリキュラムが組まれています。
このオンライン英会話のカリキュラムではネイティブの講師と1対1でインターネットを介した英会話の練習を行います。リスニングやスピーキングなどの英会話に必要とされるスキルを高めることはもちろん、日常の英語の授業で学んだ内容を生かすことができると生徒からも好評です。よりスムーズにコミュニケーションが取れるよう、事前に話す内容や構文などを考えて英作文を準備してくる生徒も多く、自己学習の習慣化にもつながっています。
オンライン英会話ではモニター越しの会話で言葉だけでなく、表情やジェスチャーまで伝えることができるため、遠方にいるネイティブの講師と直接会って話をしているかのような感覚で学べるのがメリットです。グローバル化が進む中、臆せず堂々と他国の人と英語でのコミュニケーションを取ることができる人材を育成できるのが西南学院中学校・高等学校のオンライン英会話です。
相手を尊重する心を育むグローバル教育プログラム
西南学院中学校・高等学校では密度の高い国際交流の実施で、国際社会で「良き隣人」として平和を作り出すことのできる人物の育成を目指しています。目まぐるしく変化する国際情勢の中、生徒たちは英語をはじめとした語学力はもちろん、異文化に対する理解・また多文化社会の中での発言力・行動力・リーダーシップを身につけていく必要があります。同校では、さまざまな国際交流活動を通して世界中の異なる文化・歴史を持つ人々と助け合い、理解し尊重する心を育んでいます。
独自の国際交流活動の一例として、中等部3年生では希望制で春休みの5日間の日程で行われる「Seinan Peace Making Program」というプログラムに参加することができます。プログラムでは生徒5人に対し1人の割合で、オックスフォード大学やケンブリッジ大学の学生などが英語によるディスカッションや発表の指導をしてくれます。ディスカッションを通して、積極的な物の見方・自己のアイデンティティ理解・世界中の国々が抱えている諸問題に対する解決案の模索などを学習していきます。最終日には5日間の活動を通して自分が得たもの、またこれからの目標を全員で発表し合う機会が設けられます。この取り組みでは、身近な問題から世界で起こっている諸問題までを通して平和や共生について考え、意見を交わしていくことで生徒たちの学びを深めていくのです。
その他、同校では毎年さまざまな国からやって来る留学生（長期）やホームステイ（短期）の受け入れや、福岡市が行う国際交流プログラムにも協力しています。
また、同校に留学提携校はありませんが、留学を希望する生徒には各種サポートをするAFS・ISAなどの団体への紹介を行っています。留学する場合は1度休学する形となりますが、1年後に復学する際、休学した時の学年に所属する原級留学・休学しても学年が1年進んだ学年に所属する進級留学から選択することが可能です。
まとめ
西南学院中学校・高等学校では聖書の教えを土台としたグローバル教育に力を入れています。国際交流を深めることを通して1人1人にかけがえのない存在としての価値が与えられていることを知り、等しく神に愛されている者として他者を尊重しながら喜びや悲しみに共感して生きる「新しい人」「平和をつくり出す者」を育む場となることを目指しています。世界・社会の諸課題について考えるチャペルの存在や聖書の授業は同校の使命・生命と位置付けられており、こうした環境や聖書の教えを通して、1人1人の生徒を大切にした教育を続けています。