2020年 4月 の投稿一覧

人間文化コースを中心にグローバルな活動を展開、福岡県立鞍手高等学校

<学校の概要>

福岡県立鞍手高等学校(以下、「同校」という)は、福岡県直方市にあり、JR福北ゆたか線直方駅徒歩10分の場所である。1918年に設立し、2012年から5年間スーパーサイエンススクールで、2015年から5年間スーパースローバルハイスクールに指定されている。
全日制課程と定時制課程が設置され、定時制過程は夜間と昼間がある。全日制課程は普通科と理数科で、普通科は「普通科」と「普通科人間文化コース」に分かれる。2015年の募集は普通科160名、人間文化コース40名、理数科40名であった。募集定員に占める推薦入試の割合は、普通科約15%、人間文化コース約30%、理数科約25%である。

<基本情報>

★スーパーグローバルハイスクール(SGH)
★SGH研究構想名:国内外の農業問題に挑むグローバルリーダーの育成

学校属性:公立普通科高校
校訓:英知・創造・敬愛
生徒数:900人(2014年4月現在)
共学/別学:共学
学期:3学期制
学費:17万0900円万円(初年度、2014年度)
国内大学進学実績:福岡大学、西南女学院大学、九州産業大学、西日本工業大学、久留米大学、北九州市立大学、山口大学、熊本大学、長崎大学など(2014年)

理数科や普通科人間文化コースが設置されている

「理数科」は医学部、理学部、工学部などの進路を目指す学生が学ぶコースである。理数数学や理数理科という学校設定科目(学習指導要領で定められているもの以外に学校が独自で設定できる科目)の指導を行うほか、少人数で課題研究をして、1年生は基礎研修、2年生はテーマ別の課題研究を行う。夏休み中には、「理数科セミナー」という課題研究、「サイエンスリサーチ」という研修旅行を実施する。また、研究者などによる講演会、大学教授などによる特別講義、校外施設の見学などに参加する。
「普通科人間文化コース」は、文学部、法学部、経済学部など人文・社会系や教員養成系に進学したい生徒のためのコースで、語学の分野に進みたい生徒にも向いている。英語、社会、国語の専門的な内容を学習し、ディベートやプレゼンテーションも取り入れているほか、外部講師による特別講義もある。2年生は、少人数のゼミ形式で発表会をする。また、校外研修では、裁判所、企業、博物館、美術館などを訪れ、1年生はサマーセミナーに、2年生は海外研修に参加する。

人間文化コースの生徒を中心にSGHプログラムを行う

2015年にグローバルハイスクールに指定され、プログラムは人間文化コースを中心にグローバルな活動を展開する。
SGHの課題研究は、人間文化コースの200人が、筑豊地域の課題である人口問題、資源・エネルギー問題、労働問題、地域活性化を探求する。大学教授による講義やフィールドワークを通じて体験的に学ぶ。
2年生においては、普通科の生徒は筑豊地域に関する課題研究論文を作成し、人間文化コースの生徒はアジア地域に関する研究をして論文を作成する。人間文化コースの生徒は課題研究として、シンガポールとマレーシアのフィールドワークを経験し、その事前研究として夏期休暇中に京都研修を実施して、地域研究の基礎と東南アジア研究について学習する。
2015年の活動例としては、5月には1年生の240人がSGHの協同学習の講義を受け、6月にアメリカの高校生が2週間、2年生のクラスに体験入学した。

国公立の合格者は92人で、関西私立大学の合格実績が豊富

2015年卒業生の国公立合格者数は、福岡県立大学12、九州工業大学11、北九州市立大学11、九州大学8、熊本大学8、福岡教育大学7、下関市立大学6などであり、大阪大学の合格者もいる。
そして、私立大学合格者数は、福岡大学36、純真学園大学27、西南学院大学24、西南女学院大学22、福岡工業大学21、中村学園大学18、近畿大学16、筑紫女学園大学13、九州産業大学11、九州女子大学10などであり、早稲田大学、青山学院大学、法政大学の合格者もいる。

SSHのプログラムでも大学との連携を図っている

スーパーサイエンススクールのプログラムは、国際的なコミュニケーション能力を育成する目的もあり、語学力の育成や国際的な科学技術コンテストへの参加も目標とする。理数科だけではなく人間文化コースと普通科の生徒も対象で、九州大学、福岡教育大学、福岡工業大学、近畿大学などと連携している。

夜間定時制と昼間定時制の教育を行っている

夜間定時制と、豊翔館(福岡県鞍手郡)における昼間定時制の教育をしていて、昼間定時制には普通科と生活情報科がある。どちらも4年間のカリキュラムであるが、昼間の定時制では3年間で履修して卒業することも可能で、夜間定時制でも定通併修制度を利用すると3年間で卒業できる。夜間定時制には15歳~47歳までの生徒がいて、2015年4月現在47人が学んでいる。

まとめ

理数科や普通科人間文化コースがあり、夏期休業中に課外授業やセミナーを行っている。英語などを専門的に学習し、スーパーグローバルハイスクールプログラムの対象であり、海外研修の機会がある人間文化コースは、英語学習に力を入れたい生徒に向いているといえる。同校がSSHとして大学連携を行ってきた経験は、SGHの大学連携にも生かされるだろう。
合格実績は関西の大学が中心で、国公立大学の合格者も多い。理数科があり、スーパーサイエンススクールでもあるので、理系学部を志望する生徒にも向いている。

IBプログラム・イマージョン教育を実施する文科省指定の特例校、都築学園リンデンホールスクール中高学部。

<学校の概要>

都築学園リンデンホールスクール中高学部(以下、「同校」という)は、福岡県筑紫野市にあり、西鉄二日市駅から西鉄バスに乗り、日本経済大学駅前の停留所で下車して徒歩3分の場所である。
都築学園が、1746年に創設されたアメリカのリンデンホールと姉妹校として国際交流を行ってきたことにちなむ学校名である。平成22年に中高等部が開校し、小中高一貫教育を行っている。2015年の中学入試では、内部進学者を含み合計60名を募集し、T型(英語、国語、数学、面接)とL型(書類選考、作文、面接)の試験を実施した。
都築学園グループには、日本経済大学、第一薬科大学、神戸医療福祉大学、日本薬科大学、横浜薬科大学などが属する。同校は、英語をツールとした個性教育により、世界に通用する国際人教育を目指している。

<基本情報>

学校属性:私立・中等教育学校
系列校:リンデンホールスクール小学部など
教育体制:小中高一貫制
教育理念:個性の伸展
生徒数:1学年60名
共学/別学:共学
学期:2学期制
学費:242万円(中学初年度)
帰国子女の受入:
国内大学進学実績:
海外大学進学実績:

国際バカロレアのディプロマプログラム認定校

2013年に国際バカロレアディプロマ・プログラム(DP)の認定校になり、国内でIB認定を受けた12校の一条校(学校教育法第1条の学校)の一つである。
授業と試験は英語、フランス語、スペイン語のいずれかで行われ、大学入学資
校である。格を得ることができるプログラムがある。母語、外国語、個人と社会、実験科学、数学とコンピューター科学、芸術または選択科目から選んで履修し、課題論文、知識の理論、創造性・活動・奉仕の要件を満たすことが必要である。学内の課程を修了し、筆記試験に合格するとディプロマを習得できる。

ハーバード大学などの提携校

オーストラリアのセイントパトリック附属高校、フランクストン高校、ビーコンヒルズ高校や、カナダのジョージヘンリー高校とセイントマイケル高校と提携校である。また、アメリカのハーバード大学とデュケイン大学や、イギリスのオックスフォード大学セント・アンズ・カレッジとケンブリッジ大学フィッツウィリアム・カレッジと提携校である。たとえば、ビーコンヒルズ高校から留学生が来て、生徒の家にホームステイをするなどの交流をしている。
都築学園は、ペンシルベニア州にあるアメリカのリンデンホールと姉妹校として国際交流をしてきた背景がある。

英文テキストで学習し、中学1年からTOEICやTOEFLを毎年受験する

前期課程(中学校の課程に相当)における英語の授業時間数は各学年で140時間ずつである。教科書は、文部科学省認定のものを英訳したオリジナルテキストと、英語のサブテキストを使用している。そして、図書館には8000冊の蔵書があり、その半分は洋書で、生徒は英語の図鑑や本に親しんでいる。
1年生は「TOEIC600点突破トレーニング」、2年生は「TOEIC700点突破トレーニング」と「センター試験対策演習」、3年生は「センター入試対策演習」、「TOEIC750点突破トレーニング」を履修する。そして、中学1年からTOEICとTOEFLを毎年受験する。
後期課程(高等学校の課程に相当)における英語の授業単位数は、一部の学年でコースにより異なり、インディビジュアルコースは16単位で、インターナショナルバカロレアコースは15単位である。

国語以外の授業はほぼ英語で行う

小学部から継続して、12年間の英語のイマージョン教育を行っている。中学入試においても英語面接があるため、内部進学者以外も中学初年度において、英語をある程度習得している。同校では、国語以外の授業はほとんど英語で行い、日本人とネイティブの教師がチームで教えている。
また、英語のディベートやエッセイの指導を定期的に行い、インタビューも授業に取り入れている。たとえば、中学3年生は、英語の時間にインタビューをし、留学している大学生が加わることもある。5年生(高校2年生)は英語の授業で『Great Gatsby』などを読み、English B の授業では、英語で議論をして流暢さを評価する。

中学3年でセンター試験レベルの英語問題を解くことができる

中学3年でセンター試験レベルの問題をほぼ解けるようになり、海外に進学するのに必要な英語力を養う。数学は高校1年生で高校3年生までの基礎的な学習を終え、その後の2年間で応用力をつける。理科についても、高校1年までに高校領域の化学と生物を学び、その後の2年間で大学受験に必要な力をつける。いずれも海外への進学にも対応できるカリキュラムである。
そして、英語力をつけるとともに、ITやプレゼンテーション力をつけ、日本の伝統文化や芸術を体験する。さらに、環境科を設置し、郊外学習や、インターネットやメールによる世界各国とコミュニケーションによって、課題解決型学習を実施する。英語のイマージョン授業を生かした環境教育が評価され、文部科学省教育課程特例校の認定を受けた。

まとめ

同校は、国際バカロレアのディプロマプログラム(DP)の認定校であり、2015年度スーパーグローバルハイスクールのアソシエイト校や、文部科学省教育課程特例校でもある。
イマ―ジョン授業とネイティブによる授業が大変多く、前期課程(中学校課程相当)における英語の習熟度が高いため、大学進学時には極めて高いレベルに至っていると思われる。数学や理科も学習進度が速く、海外への進学に対応している。有名な海外大学に加え、英語圏の高校とも提携している。

キリスト教の価値観に基づく人間性を教育、明治学園中学校・高等学校。

<学校の概要>

明治学園中学校・高等学校は福岡県北九州市にあり、JR戸畑駅から徒歩10分の場所に位置している。同校の授業は7時限(16時30分)まである。小学校からの内部進学があり、中学入試の募集人員は男女80名ずつである。
明治学園の歴史は1910年に始まり、中学校は1947年に設立され、2008年に桜の聖母学院と法人合併により、学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダムとなった。カトリック系キリスト教の価値観に基づく人間性を教育し、1658年に始まった歴史をもつコングレガシオン・ド・ノートルダムが、2008年に宣言したミッションステートメントをもとに教育活動をしている。

<基本情報>

★スーパーグローバルハイスクール(SGH)
★SGH研究構想名:社会の変革に寄与するグローバル・リーダーの育成カリキュラム

学校属性:私立普通科 中学・高校
校訓:広く、深く、そして高く
系列校:明治学園小学校
教育体制:中高一貫教育
生徒数:中学校616人、高校677人(2014年4月1日時点)
共学/別学:共学
学期:3学期制
学費:60万6800円(高校1年、2015年度)
学生/教員比:16/1(中高合算、2014年4月1日時点)
帰国子女の受入:有
国内大学進学実績:福岡大学、九州大学、西南学院大学、久留米大学、熊本大学、長崎大学、山口大学、京都大学、広島大学など(2015年)

<学校の特徴>
英語の授業が多い時間割

中学1・2年生は、聴く、話す、読む、書くの4技能をバランスよく身につける。中学1年~3年における英語の授業は7時間で、高校1年では6時間である。公立中学校は4時間であることに比べて、授業時間が多い。
中学生の週1コマはイングリッシュコミュニケーションの授業で、クラスの半分の少人数であるから、生徒が発表する機会が多い。また、外国人教師による授業で、コミュニケーション力や表現力を育成する。なお、明治学園は、小学校から英語の授業があり、外国人教師による授業や英語合宿も実施している。

中学3年で高校の学習内容を先取りする

英語、数学、国語は、中学3年から高校の学習内容を学び、英語は高校2年生までで、高校の学習内容を修める。高校2年における英語の授業数は、理系6時間、文系8時間である。理系は2種類のコースがあり、理系3は生物が3時間で、理系2では課題研究を1時間行う。
高校3年生は、習熟度別に大学入試対策演習を行い、読む・書くを中心に英語力を高めていく。高校3年における英語の授業数は理系1~3と文系1~3のコースに分かれ、英語の授業数は理系が8時間で、文系9~10時間である。

九州大学の現役合格を目指すカリキュラム

2015年の国公立大学合格数は、九州大学26、熊本大学9、長崎大学8、山口大学8、京都大学5、広島大学5などで、私立大学の合格数は、福岡大学55、西南学院大学26、久留米大学13などである。医学部医学科の合格数は、国公立15、私立38であった。
九州大学に現役合格できる程度の授業をするために、中学・高校の各学年で到達目標や指導法を検討している。英語科の教員は2013年度に、指導力を上げるために、問題作成の研究や自由英作文の添削演習を実施した。また、志望大学に合わせた補習や小論文指導などを充実させている。

SGHやSSHのプログラムを実施している

明治学園はグローバル人材の育成を教育目標とし、2015年にスーパーグローバルハイスクールとなり、その前はアソシエイト校であった。SGHアソシエイト校のプログラムでは、中学3年生全員が「理科探求」に取り組み、高校1年生全員と2年生の希望者に対して、課題研究の授業で実施してきた。また、アソシエイト校として、大学、企業、官庁との連携を図ったプログラムを行ってきた。
スーパーサイエンススクール(SSH)でもあり、科学英語講座や、英語で学ぶ数学概論などの授業もある。英語科学講座では、テーマに関する英文読解をし、表現について解説をする。

選抜された生徒は、アメリカとイギリスで海外研修を行う

中学3の終わりに24名を選抜して、英語を含む事前研修を行い、アメリカで合計11日間研修する。ボストンでホームステイをして、少人数のグループで語学研修し、ホワイトハウス、ウォール街、スミソニアン博物館、国連本部などを訪問する。
また、高校1年の終わりに24名を選抜して、イギリスで14日間の研修を受ける。カンタベリーのホームステイとオックスフォード大学の寮で生活し、英語のレッスンを受けるとともに、歴史的建造物や博物館を訪問して、その内容についても学ぶ。具体的には、クライスト・チャーチ大学やカンタベリー・カレッジケンブリッジで英語の発表やディスカッションを行い、オックスフォード大学で、英文作成やスピーチのレッスンをする。また、大英博物館、科学技術博物館、キャベンディッシュ研究所などを訪問して、ロンドンのロイヤル・インスティチューションでの実験にも参加する。

まとめ

同校はグローバルに活躍できる人の育成を目標とし、英語の授業が多いカリキュラムである。外国人教師による授業でコミュニケーションスキルを育成し、中学3年から高校の学習を始める。また、SGHとSSHのプログラムでも英語を使用し、SGHのプログラムにもSSHならではのものがあるだろう。アメリカとイギリスの海外研修では、伝統ある大学や機関で学ぶことができる。
九州の国公立大学・私立大学への進学者が多く、医学部の合格割合が多い。同校内は九州大学に現役で合格できるレベルを授業目標としているので、目標が明確である。

スーパー食育スクールでもある中村学園女子高等学校。

<学校の概要>

中村学園女子高等学校は福岡市城南区にあり、地下鉄七隈線・別府駅から徒歩8分の場所に位置している。中村学園は1953年に設立され、高等学校は1960年に開校された。
2015年にスーパーグローバルハイスクールに指定され、2014年度と2015年度にスーパー食育スクール(SSS)に指定された。スーパー特進Vコース、特進Vコース、一般進学コースがあり、2015年度の募集人数は順に30名、70名、320名であった。

<基本情報>

★スーパーグローバルハイスクール(SGH)
★SGH研究構想名:地球規模の課題「食」を通じたグローバル・リーダーの育成

学校属性:私立普通科 高校
校訓:清節、感恩、労作
系列校:中村学園大学、中村学園短期大学、中村学園女子中学校など
教育体制:中高一貫教育(併設型)
生徒数:1236人(2014年9月現在)
共学/別学:別学
学期:3学期制
学費:79万1400万円(初年度、2015年度)
学生/教員比:
帰国子女の受入:有
国内大学進学実績:福岡大学、中村学園大学、西南学院大学、福岡女学院大学、筑紫女学園大学、九州産業大学(2015年)

スーパー特進Vコースと特進Vコースで国公立大学を目指す

「スーパー特進Vコース」は、東京大学、京都大学、一橋大学、大阪大学、九州大学などの難関国立大学を目標にする。また、「特進Vコース」は、福岡教育大学、福岡女子大学、広島大学、熊本大学、佐賀大学などの国公立大学を目指す。
特進Vコースの生徒が認定試験を受けると、高校2年生からスーパー特進Vコースに入ることができる。これらのクラスでは、英国数を中心とする課外授業は1年生の必修で、個別指導もする。さらに、ベテラン講師の受験対策の実践ゼミや学習合宿が行われる。
育英奨学生制度については、入学試験の成績に応じて適用される制度と、在学中の成績・生活態度に応じて表彰される制度がある。

一般進学コースは主に私立大学を目標とする

「一般進学コース」は2年生から特別進学S、文理総合系、理系に分かれ、特別進学Sと理系クラスに入るためには認定試験がある。「特別進学S」は、早稲田大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、同支社大学、立命館大学、南西学院大学などの私立文系を目指し、国語、英語、社会に力を入れる。また、「文理総合系」は中村学園大学、中村学園短期大学、福岡県立大学、福岡大学などへの進学に対応していて、5教科をバランスよく学習し、教師や管理栄養士などを目指す学生に向いている。そして「理系」は、理学部、工学部、薬学部を目指す生徒のためにあり、福岡大学、久留米大学、東京農業大学、日本赤十字国際看護大学、福岡国際医療福祉学院などへの進学に対応している。
一般進学コースでも英国数を中心に課外授業を実施し、教務室の近くに学習カウンターがあり、放課後に個別指導を行っている。その他に授業で、大学入試に向けた小論文指導(添削)や、3分間スピーチを行っている。

週36時間の授業に加え、課外授業を多く実施する

普段の授業は7時限あり、15時50分までである。公立高校の標準時間が30時間であるのに対して、同校の授業時間は36時間である。英語の授業時間は、高校1年生は6時間で、高校2年生は6~7時間である。そして、高校3年生の英語は、進学コースの特進Sでは10時間で、他のコースでは7時間である。
さらに課外授業は、英語、数学、国語を中心として、早朝(7痔40分~)、放課後(17時10分または17時30分まで)、土曜日、長期休暇中(1~6時限、夏休み22日間程度、冬休み6日間程度、春休み7日間程度)に実施する。

英語ディスカッションや海外フィールドワークを経験する

2015年にス―パーグローバルハイスクールとなり、中村学園大学、中村学園大学短期大学部、九州大学、立命館アジア太平洋大学の留学生、カリフォルニア州立大学フラントン校、マレーシア工科大学、国連WFP協会などと連携する。マーシー高校(カリフォルニア)と、SMKスルタン・イブラヒム女子校(マレーシア)と、姉妹校となる予定である。
1年生の宿泊研修では、外国人留学生と英語でディスカッション・ディベートを行う。1・2年生は、姉妹校を訪問して海外フィールドワークを体験する。3年生は、連携大学、企業、海外姉妹校と「食のサミット」を開催し、議論した内容を国連WFPに提言する。これらは課外のプログラムであり、2年次と3年次に、正課の授業で課題探求に取り組む。また、1年生は、3月に海外ホームステイをする機会がある。

国公立大学、私立大学、短期大学、専門学校と幅広い進路

2015年の合格数は、福岡大学112、中村学園大学77、西南学院大学73、福岡女学院大学39、筑紫女学園大学35、九州産業大学32などである。そして国公立・準大学の合格数は、防衛大学校11、九州大学8、福岡女子大学5などで、合計40であった。
2014年に卒業した522人の進路は、国公立大学24人、私立大学288人、私立短期大学73人、専門学校89人であった。

まとめ

授業時間と英語を含む課外学習が多く、個別指導も行っている。コース制は進路別に細分化されているので、大学受験対策を行いやすい。卒業生の進路は多様な学部に対応していて、コースにより国公立や私立の難関大学への進学を望める。
スーパーグローバルハイスクールであり、外国人留学生との英語ディスカッションを行う宿泊研修や、海外姉妹校でのフィールドワークの機会がある。

福岡県立京都高等学校_京都大学と連携した海外研修や英語での交流が充実

<学校の概要>

福岡県立京都高等学校(以下、「同校」という)は、福岡県行橋市にあり、南行橋駅から徒歩15分程度の場所である。第一学区にあり、吉富町 上毛町 築上町 豊前市 苅田町 みやこ町 行橋市から通学できる。勉学、運動競技・文化活動、生徒会活動、ボランティアのいずれかについて顕著な実績がある者を対象とする推薦入試制度があり、2015年度の募集人員は35名程度であった。
全日制課程の高校は1917年に開校し、1947年以来定時制過程の教育を行っていて、現在は両課程の普通科を設置している。2015年にグローバルハイスクールに指定された。

<基本情報>

★スーパーグローバルハイスクール(SGH)
★SGH研究構想名:国内外の農業問題に挑むグローバルリーダーの育成

学校属性:公立普通科高校
校訓:英知・創造・敬愛
生徒数:900人(2014年4月現在)
共学/別学:共学
学期:3学期制
学費:17万0900円万円(初年度、2014年度)
国内大学進学実績:福岡大学、西南女学院大学、九州産業大学、西日本工業大学、久留米大学、北九州市立大学、山口大学、熊本大学、長崎大学など(2014年)

全日制は朝、放課後、土曜、夏期休業中に課外授業がある

7時45分から8時30分までと、15時55分から16時40分まで課外授業を行い、英語の授業もある。土曜日も授業があり個性伸長講座を行うほか、土曜日や夏期休暇中にも課外授業を実施する。
習熟度別のクラス編成であり、細やかな対応を特徴としている。英語のカリキュラムについては、文系の2・3年生は年に7単位で、他は年に6単位である。教員については、2013年に文部科学大臣優秀教員表彰の受賞者を輩出した。

大学入試実績は、福岡大学、北九州市立大学、山口大学の合格数が多い

2014年における私立大学の合格数(カッコ内は現役)は、福岡大学77(67)、西南女学院大学26(25)、九州産業大学25(24)、西日本工業大学24(24)、久留米大学20(19)、西南学院大学15(12)、近畿大学14.(4)、福岡工業大学11(11)、九州栄養福祉大学10(10)、東海大学9(8)、立命館大学8(5)、中村学園大学8(6)、関西学院大学6(3)などであり、慶応大学、東京理科大学、同志社大学などの合格者もいる。
国公立大学の合格数は、北九州市立大学21(20)、山口大学18(14)、熊本大学15(12)、長崎大学10(7)、福岡県立大学9(9)、九州工業大学7(7)、大分大学6(5)、広島大学5(3)、九州大学5(3)、下関市立大学5(5)、福岡教育大学4(3)、長崎県立大学4(3)などである。国公立大学の合格数は合計129で、そのうち102が現役であった。他に西日本看護専門学校に12人など、専門学校にも合格している。2013年は京都大学、大阪大学、神戸大学などの合格者を輩出している。

SGHのプログラムで海外研修に参加し、英語で留学生と交流する

同校は2015年にスーパーグローバルハイスクールに指定された。そのプログラムでは農業問題について、京都大学の先生や大学院生などから、大学、同校、ICTによる講義により指導を受け、解決策を探る探究活動を行う。また、ニュージーランドやハワイでの海外研修を行うほか、グローバル企業の社員による講演を聴き、留学生と英語で交流する。

推薦入試制度や、難関大学志望者向けの学力向上プランがある

国公立大学と私立大学ともに推薦入試制度がある。また、進路指導としては、進路講演会、大学の出前講義、小論文指導などを行い、希望する進路を実現するためにインディペンデンス・プロジェクトを実施している。PTAによる大学訪問が行われたことがあり、2014年には九州工業大学生活情報工学科の研究室やキャリアセンターを見学するプログラムを実施した。
難関大学を目指す学生に対して、独自の「CBAプラン」という希望制の課外授業を開講し、英国数の科目を重点的に学ぶ。自宅では、平日・休日とも数時間以上宿題や課題をする。
2年生から「文型」、「理Ⅰ型」、「理Ⅱ型」のコースに分かれ、文型は世界史/日本史と生物を学習するが、理Ⅰ型は地理、物理、化学、理Ⅱ型は地理、化学、生物を学習する。

定時制過程の教育を行っている

同校の定時制課程は、福岡県立京都農業高等学校に定時制農業科併置されたことに始まり、現在は普通科である。定時制過程では昼働きながら学ぶことができ、1日に4時限の授業を受け、4年間で卒業する。2014年5月1日時点の生徒数は83人であり、10代の生徒が多いが、20歳以上の生徒もいる。20歳以上の志望者は学力検査の代わりに、作文と面接で受験できる。そして、定時制の卒業生は大部分が就職している。
また、定通併修制度では、4年生で学ぶ内容を通信制や高校卒業程度認定試験で習得することにより、3年間で卒業でき、この制度で卒業する生徒が年に数名いる。

まとめ

平日、土曜、夏期休暇中などに、英語などの教科の課外授業を行っていて、難関大学の志望者をサポートする課外授業も行っている。2015年からスーパーグローバルハイスクールであり、京都大学と連携し海外研修や英語で交流する機会がある。
卒業生の進路は多彩で、関西の国公立大学や私立大学の合格者が多い。合格者に占める現役の割合が多く、九州大学など難関大学の合格者も輩出している。

久留米大学附設中学校・高等学校_予備校いらずで難関大続々合格の理由とは

久留米大学附設中学校・高等学校は、東京大学や地元の九州大学を筆頭に、国公立大学医学部にも毎年多くの合格者を輩出している、国内でも有数の進学校です。生徒の通塾率は約1割と低く、学校の勉強だけで難解大の合格を目指せるほどに手厚いフォローを施しています。生徒たちの自主性を重んじながら、国内でも屈指の高い進学実績をキープし続ける秘訣とは?その理由に迫ります。

久留米大学附設中学校・高等学校の概要

久留米大学附設中学校・高等学校は、福岡県久留米市野中町に位置する、私立の中高一貫校です。交通アクセスはJR久留米駅から歩いて約25分、西鉄久留米駅からは約15分ほどであり、 西鉄バスには「附設高校前」バス停があります。また、自宅通学困難な生徒に向けて男子限定の「扶桑学寮」という寄宿舎が設けられています。

1950年に設立された本校は、初代校長板垣政参、4代校長原巳冬両氏の定めた「国家社会に貢献しようとする、為他の気概をもった誠実・努力の人物の育成」という建学の精神を現代に引継いだ”全人教育”を基に、「豊かな人間性と優れた学力とをかね備えた、国際社会に貢献できる人材の育成」を教育方針としています。

生徒たちの進学意欲と学力、提供される教育のレベルは非常に高く、東京大学や、京都大学、慶応義塾大学、早稲田大学といった国内トップクラスの難関大学や、地元の九州大学医学部を筆頭に、国公立大学医学部にも毎年多くの合格者を輩出している、国内でも有数の進学校です。

2020年度の入学試験は中学と高校で1回ずつ実施され、募集定員はそれぞれ160名と40名でした。

久留米大学附設中学校・高等学校の基本情報

学校属性:私立 中学校・普通科高校
建学の精神:「国家社会に貢献しようとする、為他の気概をもった誠実・努力の人物の育成」
系列校:久留米大学
教育体制:中高一貫校(併設混合型)
共学/別学:男女共学
学期:3学期制
学費:89万5,750円(中学初年度、入学金・諸会費を含む)、92万8,730円(高校初年度、入学金諸会費を含む)
帰国子女の受入:特に帰国生向けの入試制度は設けられていない。
*インターナショナルスクール等の卒業生は義務教育を修了しているとみなされるかを別途確認する必要あり。
国内大学進学実績:東京大学、京都大学、九州大学、慶應義塾大学、早稲田大学など(2019年)

久留米大学附設中学校・高等学校の特徴

普段の授業を重視する密度の高いカリキュラム

本校の教育課程と授業内容は、これまでの進学校としての経験を活かした、ハイレベルかつハイテンポな中身の濃いものとなっています。中学1~2年で生徒と教師の間の信頼関係と、学校・自宅での学習パターンを構築し、そこから先はハイテンポな先取学習により、高校1年次のうちに高校卒業に必要な単位を全て取得することが目指されます。

高校2年次からは生徒たちの志望に応じて文系・理系に分けられた学級編成がとられ、大学入試に向けた実践的な教育が行われます。こうした1中学中高一貫校であるからこそ実践できる教育計画の結果が、本校の目覚ましい進学実績につながっています。

英語の授業時間も通常の学校よりも多く設けられおり、中学3年間では一貫して週6時間、高校では文系・理系を問わず、1年次週5時間、2年次週6時間、3年次週7時間もの授業が行われています。

APU国際交流プログラムで異文化理解の意義を学ぶ

中学2年の2学期には、「APU国際交流プログラム」として、留学生が学生の半数を占めるAPU(立命館アジア太平洋大学)を訪問する研修旅行が実施されます。交流プログラムでは、留学生リーダーとのさまざまなエクササイズやディスカッションといった活動を通して、異文化理解と語学習得の意義を学びます。

蔵書数8万冊以上の充実した図書館

西日本でも有数の85,000冊の蔵書数を誇る図書館には、高度な専門書や文芸書、医学書、外国語辞典などが充実しており、その中には洋書も含まれています。貴重な書籍が収蔵されているだけでなく、自主学習を行うためのスペースとしても最適な環境が整えられており、朝早くから夕方までたくさんの生徒たちが学んでいます。

盛んな文化部活動。ESS部は全国高校生英語ディベート大会に出場

授業時間の多い進学校でありながら、本校の部活動への取組みは活発で、特に高校文化部の活動実績には目を見張るものがあります。

ESS(English Speaking Society)部の活動に目を向けると、2015年に国連大学で行われた模擬国連大会に、203チームの中から選考された80チームの代表として出場し、バハマ大使として『国際開発と移民』をテーマに各国大使チームと、日本語と英語によるディスカッションを行ったほか、翌年2016年には全国高校生英語ディベート大会に参加しています。

学んだ英語力をもって議論を行い、自分の考えを発信、問題解決を目指すための高度な国際的な能力を身に着けることへの生徒たち自身の意欲の高さと、それに応えられるだけの本校の充実した指導体制がうかがえます。

志望大学に応じた「特別講座」で手厚いフォロー

本校の受験対策は非常に充実しており、高校3年生は通常の6時間目の授業が終わった後に志望校に応じた「特別講座」を受講することができます。特別講座は各大学の入試問題をもとにした演習授業であり、英語に関しては、理系を対象とした「標準英語」「基礎英語」といったものから、文系向けの「難関大英語」や、「東大英語」「九大英語」といった特定の大学志望者のために設けられている講座まで幅広く網羅しています。

特別講座の内容や年4回行われる校内模試は、各教科の教員が入試問題を分析、研究して作成されており、大手の予備校以上の精度であると自負しているといいます。

まとめ

久留米大学附設中学校・高等学校では、数多く集まる学習意欲の高い生徒たちの自主性を重んじながら、1人1人に対応して行われる濃密な指導の結果として国内でも屈指の高い進学実績をキープし続けています。

また、同校は進学校でありながら、教員による生徒への干渉が限りなく少ないのも特徴で、体育祭や文化祭といったイベントでは企画から準備、運営まで生徒主導で行われます。生徒たちは6年間の学校生活を通して、自発的に考え、行動し、目標を達成することの大切さを学び、他者とのバランスを保って協働できる、責任感のあるリーダーへと成長することができるでしょう。

福岡県立春日高等学校-卒業後を見据えた進路指導とは

福岡県立春日高等学校は「進学校を目指す」という明確な目標を掲げ、「春日きらめき計画」や英語4技能を育成する英語教育「春日高校 CAN-DO リスト」など独自の取り組みが功を奏し、近年では進学実績を大幅に伸ばしています。また大学進学以上に、生徒の「卒業後」を見据えた進路指導を行っています。新時代にふさわしい教育活動の見直し・再構築に意欲を持って取り組む、チャレンジ精神旺盛な春日高校について迫ります。

福岡県立春日高等学校の概要

福岡県立春日高等学校は、福岡県春日市春日公園に位置する公立の普通科高校です。学校は福岡市中心部より30分圏内にあり、JR大野城駅より徒歩2分、西鉄白木原駅からは徒歩8分と最寄り駅にも近く、通学アクセスは抜群です。また、近くには福岡県営春日公園があり、緑豊かな環境が広がっています。

1978年の設立と県内でも比較的歴史の新しい学校ですが、進学校を目指すという明確な目標を掲げての独自の取り組みが功を奏し、近年は進学実績を大幅に伸ばしています。他方では、部活動の奨励や規範意識の育成などにも積極的で、調和のとれた人格形成教育を通して生徒を「未来に生きるたくましい」人間に育て上げることを目指しています。男女共学の高等学校で、高校入試の募集人数は普通科400名です(2019年度時点)。

福岡県立春日高等学校の基本情報

学校属性:公立・全日制課程普通科高校
校訓:「自主」「創造」
設立年:1978年
単位制/学年制:学年制
生徒数:1,265名(男子648名、女子617名)(2019年6月現在)
共学/別学:男女共学
学期:3学期制
帰国子女の受入:
国内大学進学実績:2018年度合格状況
(国公立):九州大学 25名、福岡教育大学 12名、佐賀大学 26名、熊本大学 21名 ほか
(私立):西南学院大学 188名、福岡大学 362名、早稲田大学 5名、慶應義塾大学 1名 ほか

福岡県立春日高等学校の特徴

高1ギャップの解消を目指す「春日きらめき計画」

本校の教育活動における柱となるのが「春日きらめき計画」です。春日きらめき計画は、10数年来の大幅な進学実績の向上により「進学校を目指す」という目標を達成した後、あらためて教育活動を見直し、今の時代に合ったものに再構築していこうという取り組みです。

本校では、「質の高い授業」「部活動の奨励」「挨拶・掃除の徹底」「規範意識の育成」という4つの項目を実践しています。生徒が文武両道の精神をもって勉学に励み、活力ある学校生活を送ることで「徳・知・体3つの調和ある人格形成」を図る狙いがあります。

特に重視されているのが、中学までとは激変する環境の変化に適応できずに脱落してしまう生徒の問題、いわゆる高1ギャップの解消です。「高校入学からの1学期間は、高校生活を左右する最も重要な時期である」との考えの下、1年4月の「きらめきキャンプ」での集団行動による協調性の養成に始まり、その後の教科オリエンテーション期間では、英・国・数の授業における予習→授業→復習のサイクルの習得が目指されます。入学後の早い段階から勉強はもちろん、高校生活・礼儀・進路意識などさまざまな場面からの導入期指導を計画的に実施していきます。

使える英語を目指す「春日高校 CAN-DO リスト」の策定

本校では、「春日高校 CAN-DO リスト(英語でできるようになろうリスト)」を作り、英語4技能(「読む」「書く」「聞く」「話す」)全てで「使える英語」を育成する英語教育の取り組みを行っています。

このリストでは、高校3学年を6つのStepに分割し、4技能全てにつき具体的な目標を設定します。たとえばLISTENINGのStep1(1学年前半)では「ネイティブ・スピーカーが1文ずつ切ってゆっくり話をすれば、話の内容をおおよそ理解できる」「短い会話を聞いてその内容を理解できる」という目標が設定されます。

Step6(3学年後半)になると、「200語程度のなじみのない内容(時事問題や社会的な話題)を聞いて、その概要をとらえることができる」というようにかなり高度な目標になり、段階を踏んで着実に各技能をステップアップできるようにリスト化されています。

自己実現力を育てる「卒業後」を見据えた進路指導

本校ではまず、入学直後からの高1ギャップの解消を最重要課題として位置づけ、さまざまな取り組みを実施していきますが、「導入期」後の課程においても、生徒の「卒業後」を見据えた進路指導を続けていきます。生徒たちが挑む大学入試は付け焼き刃の勉強では太刀打ちできません。そのため、本校はテストにおける「見える学力」だけでなく、正しい基本的生活習慣によって培われる「見えない学力」を含めた、いわば豊かな人間性を伴った自己実現力を培う必要があると考えています。

本校では、充実した課外授業の実施によって部活動に取り組みつつ、予備校などに通わなくても、大学入試およびその後の学びに対応できる学力を身につけることを目指しています。

「朝課外」と呼ばれる始業時間前の課外授業を、希望者を対象に通年実施して基礎学力の向上を図ります。また、「土曜活用」という70分間の3時限授業を年間10回程度行っており、大学受験に必要な基礎学力・応用力を身につけようと考えて参加する1年生の姿も珍しくありません。

さらに、4月から11月の2学期末考査前までの間行われる「放課後課外」では、大学進学を志望する3年生を対象に、発展的演習による大学入試への対応に万全を期しており、部活動生も引退後は積極的に参加しています。

また、夏・冬・春の長期休業中にも、各学年に学習目標が設定された課外授業が実施されます。課外授業というまとまった時間の中で、これまでに学んだことを振り返ること、得意科目をさらに伸ばし、苦手分野を克服することを計画的に実行していく狙いがあります。

そして、「将来を具体的に思い描くこと」で「学び」のモチベーションが飛躍的に高まるという考えに立ち、学校全体を挙げてのキャリア教育を計画的に進めています。各教科の授業時間はもちろん、総合的な学習の時間や多様な学校行事を通して、学年ごとにスローガンを定めて、生徒たちが各自に相応しい進路意識を高めていくことを目標としています。

「英語と楽しく触れあおう!」 がモットーのESS部の活動

「英語と楽しく触れあおう!」をモットーに掲げるESS部の存在も見逃せません。週2日の活動を通して、学習に役立てることはもちろん、明るく活発な部活動により学校生活をエンジョイできるようになると言われており、文化祭での活躍は多くの生徒の知るところです。

ESS部は、さまざまなスピーチコンテストへの参加にも積極的です。過去には、「福岡県高等学校英語弁論・暗唱大会」において、1年生部員がアメリカ合衆国の当時の大統領であるバラク・オバマ氏のスピーチを暗唱し、希望に満ちた内容を流暢な英語スピーチで行っています。スピーチの暗唱に取り組むことを通じて生徒らは、話すという実践的な英語力を磨くだけでなく、スピーチの内容に触れることで努力やチャレンジすることの大切さを自発的に学んでいきます。

他校のESS部との交流にも積極的です。2020年実施の第10回・九州大学・留学生交流会では、福岡大学附属大濠高校との英語ディベートの交流試合を行い、エジプト・イランを始めとする留学生による審査を仰ぐなど、国際交流の機会を経験することで今後の英語ディベート大会や英作文コンテストなどへの出場を目指した活動への意欲を高めています。

まとめ

本校は、県内の古くからある有名進学校、たとえば修猷館高等学校を始めとする福岡御三家と言われる学校とは異なり、昭和後期設立という比較的歴史の浅い学校です。その中で「進学校を目指す」というはっきりとした目標を掲げ、自らのアイデンティティを確立することに成功しました。

また、当初の目標を達成した後もそこで立ち止まることなく、新時代にふさわしい教育活動の見直し・再構築に意欲を持って取り組む、チャレンジ精神旺盛な学校です。
さまざまな意欲的な取り組み・活動を通して、生徒らに大学受験突破に必要な学力を身につけさせると同時に、大学進学後、そして社会に出てから求められる、豊かな人間性を伴った自己実現力を併せ持つ人材に育て上げようと考えています。

福岡大学附属大濠中学校高等学校-学校を「学びに挑む場」に

福岡大学附属大濠中学校・高等学校は、「道徳教育を根幹として教育を断行する」という宣言のもと設立された学校です。近年はその伝統の上に、グローバル化を始めとする現代社会の急激な変化を強く意識した「学校・教育の見直し」にアクティブ・ラーニングやグローバルコンペテンシーなど積極的に関わりながらさまざまな改革を行っています。英語のみならず、三つの「知」を融合させ、知的体力を高める。「学びに挑む」大濠中学校高等学校について解説します。

福岡大学附属大濠中学校・高等学校の概要

福岡大学附属大濠中学校・高等学校は、福岡市中央区六本松にある私立中学校・高等学校です。学校は福岡市の中心部に近く、地下鉄七隈線「六本松」から徒歩5分、空港線「大濠公園駅」からは徒歩15分という交通至便な位置にあり、目の前には市民の憩いの場として有名な大濠公園の広大な敷地が広がります。

1951年の設立以後、数度の改組を経て1996年に大濠中学校を併設して中高一貫校に生まれ変わりました。本校は、2010年に校舎を新しく建て替えて最新の設備を導入し、2011年度からは共学化をスタートさせるなど、新しい時代に対応した改革に果敢にチャレンジしています。近年は県内でも有数の難関大学への合格実績を誇る進学校として有名になりました。2020年度の入学試験における募集人数は、以下の通りです。

・中学校
160名(男子100名、女子60名)

・高等学校
専願入試:40名(男女合計)
前期入試:380名(男子300名、女子80名)
後期入試:40名(男女合計)
※いずれの方式もスーパー進学コース・進学コースの合計

福岡大学附属大濠中学校・高等学校の基本情報

学校属性:私立 中学校・普通科高等学校
建学の精神:「道徳教育を通じて人間性を高める。」
教育体制:併設型中高一貫校
系列校:福岡大学、福岡大学附属若葉高等学校
生徒数:中学校:506名(男子303名、女子203名)(2018年度)高等学校:不明
共学/別学:男女共学
学期:3学期制
学費:85万2,000円(中学初年度)、91万7,600円(高校初年度)(2019年度)
帰国子女の受入:あり(高等学校)
国内大学進学実績:九州大学 31名、熊本大学 29名、医学部医学科 55名、福岡大学 362名、西南学院大 152名、早慶 20名など(2019年度)
海外大学進学実績:

福岡大学附属大濠中学校・高等学校の特徴

「学びに挑む」~三つの「知」を融合させ、知的体力を高める

本校はいま、時代の変化に対応した学校の存在意義の捉え直しに果敢に取り組もうとしています。
グローバル化が著しく、閉塞感が増す経済状況や少子高齢化の進行など課題山積の様相を呈する現代社会を生き抜くには、これまでの様に固定化された価値観に従って生きるのではなく、変化の動きに合わせて機敏かつ柔軟に対応していく力が欠かせません。
このような時代にあって学校は、単に知識を「教え込む」だけの教育とは訣別し、生徒が自らの五感をフル活用して学び、実践できる力を育てていくことを目指さなければならないと考えています。

本校では、生徒が学習活動によって得られる「理性的な知」・学校活動で磨かれる「感性的な知」・対人関係を通して身につけられる「道徳的な知」の三つの「知」を融合させることを可能にし、知力はもちろん、感性や生活能力を含んだ知的体力を高めていくことを教育目標にしています。

アクティブ・ラーニングを積極的に推進

生徒の知的体力を高めていくという教育目標を具現化するための取り組みが、アクティブ・ラーニングの積極的な推進です。アクティブ・ラーニングとは、能動的学修のことを言い、グループワークやディベートなどを通して教師と生徒がコミュニケーションを取りつつ、相互に刺激し合うなかで、生徒が主体的に学び、考え、問題を発見・解決していく学習法です。

本校では、2016年度より国語、地理・歴史、数学、理科、英語の5教科でアクティブ・ラーニングを取り入れた公開授業を行っています。グループ学習を取り入れた授業では、同じ時間、同じ場所に集まって学ぶことで、対話による深い学びの場が生まれることを生徒自身に気づかせる狙いがあります。生徒からは、「皆と意見を交わすことで、多様なものの見方が身についた」「解答を1つに決めつけなくなった」といった声も聞かれます。

各教科に「研究員」を任命し、思考力を問う問題の研究・開発も進められています。現在は国語が先行する形で、PISA(OECD生徒の学習到達度調査)を参考にした問題を作成し、定期テストに採り入れています。今後は英語などその他の科目でも導入を進め、思考力重視に舵を切ると言われる大学入試改革に対応していくことを目指しています。

中高一貫コースで進学対策と人間形成の両立を目指す

本校の中学校は、1996年に高等学校に併設して開校されました。この時に、元からあった高校コースとは別に中高一貫コース設けられ、難関大学への進学対策とグローバル社会での活躍を見据えた人間形成の両立を目指しました。中高一貫コースでは、高校への内部進学後も他のコースと交わることなく、6年というゆとりある時間を使えるというメリットを活かした独自のカリキュラムにより学習が進められます。

特に英語に関しては、中学3年間を通して全科目中最も多い単位数が置かれて毎日授業が行われており、質量ともに充実した内容を誇ります。教材は、中高一貫校向けで難度の高さで知られるZ会発行の「トレジャー」をメインの教科書に据え、副教材「シリウス」(英文法問題集)が併用されます。毎日の予習が求められるほどのボリュームある教材を用いることで高い学力をつけさせると同時に、中学の時から家庭学習の習慣を身につけさせるという狙いもあります。

家庭学習については、NHK新基礎英語やCDを使った学習でも積極的な取り組みが求められます。そして、各学年での目標とする英語検定試験の受検と、中学修了までに準2級以上合格を目指すことが全生徒に課されます。

高校では3コースの切磋琢磨により高い進学実績を達成

高校では、「進学コース」と「スーパー進学コース」が設置されるため、中学からの内部進学者が在籍する「中高一貫コース」と合わせて3コース編成になります。本校では、3コースがそれぞれ独自のカリキュラムを組み、お互いに競い合う形で高い進学実績を達成しています。

[box class=”box2″]・進学コース

本校の高等学校課程に従来からあるコースです。1年次は同一カリキュラムで基礎力養成が目指されます。そして、2年次で大きく文系・理系に、3年次には文系・理系の各々に私立型(文Ⅰ・理Ⅰ)、国立型(文Ⅱ・理Ⅱ)コース分けが行われ、生徒の希望進路にきめ細かく対応していきます。

また、入学試験の成績により、1年次に難関国公立大学進学を目指す「特別クラス」が編成されます。この特別クラスは各学年進級時に再編成され、2年次には文系・理系コースの各々に、3年次では国立文系(文Ⅱ)、国立理系(理Ⅱ)コースに設置されます。[/box]

[box class=”box2″]・スーパー進学コース

1998年度に新設されたコースで、九州大学以上の難関国立大学合格を目標とします。本コースは、高校3年間を通して他コースと交わることはありません。学習は独自のカリキュラムに拠り、高レベルで進度が速い授業が展開され、意欲の高い生徒たちの期待を裏切らない内容になっています。[/box]

[box class=”box2″]・中高一貫コース

高校への内部進学後も独自のカリキュラム編成での授業が続きます。多くの教科で中学3年次より高校の教科書を使った授業を始めており、高校2年次から文系・理系に分かれ、高校のカリキュラムを終わらせます。そして、高校3年次は、問題演習中心の実戦的な授業を行い、大学受験に万全を期します。[/box]

国際人としてのグローバルコンペテンシーを育成

グローバル・コンピテンシーとは、国際社会で行動するときに必要となる、知識・スキル・態度などを状況に応じて正しく活用する力のことです。

本校では、充実した英語の授業に加え、短期語学研修(ホームステイプログラム)や5泊7日の海外での修学旅行を中学時に実施して、英会話の習得だけに留まらない異文化交流を通じたグローバルコンペテンシーの育成を行っています。

また、英語研究部の活動も目立ちます。グローバル人材に必須の「使える英語」の習得を目標に、週に2回、与えられたテーマについて英語で話す活動に取り組んでいます。生徒たちは「自分の伝えたいことを英語で表現する」力の習得を通して、グローバル・コンピテンシーを身につける意欲を高めていきます。これまでに、福岡県高等学校英語ディベート大会や福岡県英語スピーチコンテストなどへの出場実績を残しています。

まとめ

本校はもともと、「道徳教育を根幹として教育を断行する」という宣言のもと設立された学校です。近年はその伝統の上に、グローバル化を始めとする現代社会の急激な変化を強く意識した「学校・教育の見直し」に積極的に関わりながらさまざまな改革を行っています。その成果は難関大学への高い進学実績という形でまず目に見える形で顕れています。本校は、今後も生徒が知力だけでなく、感性や生活能力を含んだ知的体力を高めていくことができる環境を整えることに邁進していくことでしょう。