英検の結果で見るべきはCEFRレベルとCSEスコア!合格・不合格よりも大事なこと。

知らないと受験で損する!英検との正しい付き合い方

英検は合格・不合格がはっきりと結果として出るテストです。そのためどうしても合格か不合格かに目がいってしまいがちですが、実はそれ以上に注目してみていただきたいのがCEFRレベルとCSEスコアです。今回はCEFRレベル・CSEスコアについての紹介と、なぜそれらを確認することが大事なのかをご紹介します。

CEFRレベルとは

CEFRとはCommon European Framework of Reference for Languages(ヨーロッパ言語共通参照枠)のことです。そして2022年度から英検の成績表示に1級〜3級は【技能別CEFRレベル】が表示されるようになります。これまで4技能の総合CEFRは算出されていましたが、2022年度試験からは英検CSEスコアと同様各技能のCEFRレベルが見れるようになるのです。

出典:英検公式HP

これまでは4技能合わせたCEFRレベルの表示だけだったため、準2級をA2判定で合格した場合は、2級を合格する可能性は高いと言える一方で、一部の技能が足りないと不合格になる可能性がありました。各技能別で今後CEFRレベルが表示されることで、トータルではA2判定であったとしても、4技能の中でA1判定のものがあればその技能を優先して取り組む必要があることが分かるようになるのです。

合格だった場合も、不合格だった場合でも技能別CEFRレベルを確認することで、次の級に合格する可能性がどれくらいだけではなく、これから注力して伸ばす必要がある技能が何かを明確に知ることができます。

CEFRの基礎|A1からC2までの6段階レベルとは

CEFRのA1からC2までのそれぞれのレベルの概要は以下の通りです。

A1(初級):日常的な基本的な会話や表現を理解し、使うことができる。

A2(初中級):簡単な会話や日常的な状況に対応できる。

B1(中級):日常的な会話を比較的スムーズに行うことができる。

B2(中上級):流暢で自然な会話ができ、簡単な議論や意見交換もできる。

C1(上級):複雑な内容を理解し、意見や考えを詳細に表現できる。

C2(非常に上級):母国語話者と同等のレベルで言語を使いこなせる。

CEFRと他の英語試験の関係|IELTS、TOEFLとの比較

1. IELTSスコアとCEFRレベルの対応はおおよそ以下の通りです。

スコア 4.0 ~ 5.0 ⇒ A2 ~ B1

スコア 5.5 ~ 6.5 ⇒ B2

スコア 7.0 ~ 8.0 ⇒ C1

スコア 8.5 ~ 9.0 ⇒ C2

2. TOEFLスコアとCEFRレベルの対応はおおよそ以下の通りです。

スコア 60 ~ 78 ⇒ B1

スコア 79 ~ 93 ⇒ B2

スコア 94 ~ 101 ⇒ C1

スコア 102 ~ 120 ⇒ C2

英検CSEスコアとは

CSEスコアとはCommon Scale for English の略です。英検CSEスコアは各技能ごとの具体的なレベルを数字で表してくれています。英検の合格基準はこのCSEスコアによって定められています。

4技能合わせた場合の英語力と、スピーキング・リスニング・ライティング・リーディングの技能ごとの能力をそれぞれ確認でき、どの級でも共通のスコア表示のため過去のスコアと比較することで英語力が伸びたかを確認できるのがCSEスコアの良さ。英検が不合格だった場合は、次はどこを重点的に勉強すれば良いのかが分かります。合格だった場合は、次の級に合格するためには各技能をどれくらいずつ伸ばす必要があるかを知ることが可能です。

出典:英検公式 HP

また、CSEスコアは国際標準規格であるCERRにも対応しているので他の英語資格(TOEFL iBTやTOEIC、IELTSなど)でどれくらいのレベルに当たるかなども確認ができます。

CSEスコアの仕組みと英検での活用

CSEスコアの仕組みは、英検の各技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)における個々のパフォーマンスを評価し、「できることの範囲」を示す数値として表すことです。CSEスコアの英検での活用方法としては、英検の試験結果と一緒にCSEスコアが発行され、合格証には「できること」のスコアが記載されます。これにより、英検受験者は自分の能力を数値で確認し、さらに具体的な改善点や強みを把握する材料として活用できます。

CEFRに対応するCSEスコアの範囲と設定方法

以下は、CSEスコアとCEFRレベルの対応関係の一般的な目安です。

CSEスコア範囲 CEFRレベル

100~300    A1(初心者)

300~500    A2(初級)

500~650    B1(中級)

650~800    B2(中上級)

800~900    C1(上級)

900~1000     C2(熟練)

CSEスコアの設定方法としては、英検の各セクション(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)のそれぞれ異なる能力を測定し、これらの結果を総合的に評価することで、CSEスコアが決まります。

CSEスコアが英検各級で異なる理由

CSEスコアが英検各級で異なる理由は、英検が採用している評価基準が受験者の能力に応じて適切なレベルの評価を行うために設計されているためです。具体的には、英検の各級が測定する英語能力の範囲や難易度が異なるため、その結果としてCSEスコアも異なるということになります。また、CSEスコアは、単純な正答率ではなく、試験の内容や出題範囲、求められる能力に応じてスコアが設定されるため、受験者の能力に適した評価がなされるという特徴があります。

英検の成績表で覚えておくべきポイント

CEFRレベルとCSEスコアの表示があることを踏まえて、英検の成績表を確認する際に覚えておきたいポイントが3つあります。英検では大体6割の正答率で合格すると言われていますが、厳密には各技能バランスよく正解する必要があることを確認しておきましょう。

技能ごとに点数は均等配分されている

英検ではリーディング・リスニング・ライティングで問題数が異なります。そのため点数配分も問題数に合わせて変動するかと思いがちです。ライティングの問題は一問しかないので、リーディング・リスニングを優先的に取り組もうと考える方もいるかもしれませんが、問題数は関係なく、各技能にスコアが均等に配分されていることを覚えておいてください。技能ごとの1問あたりの点数は異なりますが、同じ技能の問題であれば、どの問題で正解してもスコアへの影響は変わりません。

CSEスコア導入以前は、ライティングが0点であっても、リーディングとリスニングで点数が取れいてたら合格する可能性がありましたが、2016年度から各技能ごとに点数が均等配分されたことで、全ての技能で一定数正解することが必須となりました。

統計的手法(Item Response Theory)で点数は決まる

すでにご存知の方も多いかと思いますが、英検では、統計的手法(Item Response Theory)が採用されており、受験者の正答率や問題の難易度、過去のデータなどをもとに統計的にスコアが算出されています。そのため「何問正解したか」だけでは合格か不合格かがわかりません。自己採点では結果が分からないのはこのためです。

Item Response Theoryとはテストにおける受験者の応答パターンを用いて、形式や難易度が異なるテストの結果を比較するための理論です。

英検公式hpより

一方で、この採点方法により、前回の試験より難易度が難しくなった、あるいは簡単になった場合もそれをスコアに反映させることが可能となります。いつ試験を受けても難易度を考慮したスコアが結果として出るのです。

CSEスコアのカラクリに注意

CSEスコアは2016年から導入された制度です。それ以前は「素点」で英検の合否が決まっていました。そのため各技能における正解数が同じであれば、合格しましたが、CSEスコアが導入されてからは、各技能における正解数が全く同じでも、合格する人と不合格する人が出るように。CSEスコアは実は受験者全体の正解率などのパターンを元にスコアが計算されるため、正解数だけでは分からないのです。素点(正解数)=CSEスコアではないということを覚えておいてください。

CEFRとCSEスコアで可能な資格の相互認定制度

相互認定制度とは、CEFRとCSEスコアが両者の英語能力評価基準として一致することで、異なる試験のスコアを互いに比較・認定できる仕組みです。これにより、英検のCSEスコアと他の試験(TOEIC、IELTS、TOEFLなど)のスコアを比較することが可能になります。この制度は、国際的な認知、多様な選択肢、試験間の相互補完といったメリットがあります。

海外留学に役立つCEFRとCSEスコアの活用法

CEFRを海外留学で活用する方法としては、英語圏の大学の入学条件として活用する、入学審査やビザ申請時に英語力証明書として活用するなどがあります。CSEスコアを海外留学に活用する方法としては、英検の結果をCEFRの各レベルに対応させることで、海外の教育機関でも理解しやすい形にすることが挙げられます。英検のCSEスコアを留学先に提出することで、英語能力の詳細な評価が可能になります。

CEFR基準で国際認定される英語資格|グローバルな評価

以下に、CEFR基準で国際的に認定されている代表的な英語資格と、それぞれがどのCEFRレベルに対応するかについて記します。

1. IELTS

IELTSは、主に英語圏の大学や教育機関で要求される英語能力を測定する試験です。IELTSスコアとCEFRの対応は以下の通りです。

6.0~6.5: B2(中上級)

7.0~7.5:C1(上級)

8.0~9.0:C2(熟練)

2. TOEFL iBT

TOEFL iBTは、主にアメリカの大学などでの入学要件として広く認知されている試験です。TOEFLスコアとCEFRの対応は以下の通りです。

72~94: B2(中級〜中上級)

95~120: C1(上級)

121~130:C2(熟練)

3. TOIEC

TOEICは、主にビジネス環境での英語能力を評価する試験です。TOEICスコアとCEFRの対応は以下の通りです

600~780:B1(中級)

785~940: B2(中上級)

945~990:C1(上級)

英検CSEスコアと大学受験の関係

一部の大学では、英検のCSEスコアを入試科目として採用しており、英検のスコアがそのまま合否に影響することがあります。特に、英検の準1級以上を持っていると、英語の試験の点数や、面接や書類審査で有利に働くことがあります。また、英検のCSEスコアは、大学の入試で加点や優遇措置を受ける際に活用されることがあります。例えば、一般入試を受ける際に、英検のスコアを提出することで加点される場合や、スコアに応じた特典を得られる場合があります。

CSEスコアとCEFRを使った学習目標の設定方法

ここではCSEスコアとCEFRを使った学習目標の設定方法について解説します。

目標設定の重要性|CEFRとCSEスコアを活かした学習計画

CEFRとCSEスコアを基にした目標設定方法は以下のステップに従って行います。

1. まずは、自分の現在の英語力を確認しましょう。自分が今どのCEFRレベルに該当するのかを調べ、そのレベルに対応するCSEスコアを把握します。

2. 次に、目標レベルを設定します。CEFRのレベルに基づいて、自分が目指すべきレベルを決定します。

3. 目標レベルを設定した後は、その目標を達成するために具体的な学習計画を立てます。

各スコアに応じた具体的な学習内容とテクニック

以下に例としてCEFRのA1レベルとA2レベルに応じた具体的な学習内容とテクニックを紹介します。

1. A1(初心者)

文法と語彙:日常会話で使われる簡単なフレーズや表現を学ぶ。

リスニング:簡単な英会話を聴いて理解する練習をする。

発音:英語の基本的な発音を学び、ネイティブの音に近づけるようにする。

2. A2(初級~中級)

簡単な会話の応答:日常生活に関する簡単なやり取りができるようにする。

基本的な文法:現在形、過去形、未来形などの基礎的な時制をしっかり身につける。

語彙:旅行や買い物に関連する単語やフレーズ、数詞、時間の表現を覚える。

リーディング、リスニング力強化のためのスコア目安

以下、リーディングとリスニング力の強化に向けたスコアの目安を、CEFRおよびCSEスコアに基づいて、各レベルの目安を記します。

A1(初心者):1000~1300

A2(初級):1300~1600

B1(中級):1600~1900

B2(中上級):1900~2200

C1(上級):2200~2500

C2(熟練):2500~2800

よくある質問(FAQ)|英検CSEスコア・CEFR

ここでは、CSEスコアとCEFRレベルに関するよくある質問について記します。

CSEスコアは一度取得すれば有効期限はある?

英検のCSEスコアは、基本的に2年間の有効期限が設けられています。これにより、2年以上前に取得したスコアは、現在の英語力を正確に反映していない可能性があると判断され、試験結果が無効とされることがあります。この2年間という期間は、一般的に英語力が比較的安定しているとされる期間であり、それを過ぎるとスコアが古くなり、英語力が低下している可能性を考慮して、再度試験を受けることが推奨されます。

CEFRレベルの向上に必要なCSEスコアの上げ方は?

ここでは例として、CEFRレベルA1(初心者)からA2(初級)を目指すためにCSEスコアを上げるための学習方法を記します。

1. 基本的な語彙と文法の習得:英語の初心者向け教材(簡単な会話集、単語帳)を使って、基本的な表現やフレーズを覚える。

2. リスニング練習:短い会話をしたり、日常的な音声教材を使ったりして、実際の会話に慣れる。

3. フレーズの暗記:挨拶、自己紹介、買い物、食事の注文など、日常生活で使える基本的なフレーズを覚え、実際に使ってみる。

CSEスコアを自己学習で効果的に伸ばすコツは?

以下、CSEスコアを自己学習で効果的に伸ばすためのコツを記します。

1. 目標とするCSEスコアを決め、それを達成するためのプランを立てる。

2. 毎日の学習時間を確保し、何を学ぶかを具体的に決める。

3. ターゲットとなるレベルの語彙を毎日覚える。

4. 毎日少しずつでも英語の文章を読む。

5. 多読と精読を使い分ける。

6. ポッドキャストや英語ニュースなどを使って、リスニング練習をする。

7. 簡単なエッセイや日記を書くことでライティングの基礎を固める。

8. スピーキング練習ができるオンライン英会話を活用する。

CSEスコアとCEFRスコアで英検以外の資格取得も!

2016年以前はCSEスコア制度がなかったため、得意分野で点数を獲得し、英検合格を目指す人が多くいましたが、CSEスコア制度が導入されてからはバランス良く全ての技能で一定の正解率が求められるようになりました。そのため、英検の成績表でどれくらいのCSEスコアが技能別で取れているかを確認することが、次の英検受験勉強に向けてとても大切になっています。

また、CEFRスコアを確認することは英検以外の資格を受験する際の目安ともなります。英検は日本国内でしか通用しないため、海外留学を検討している方は他の英語資格(TOEFLやIELTS)を検討している方も多いことかと思います。実際にはキャタルでは英検とTOEFLジュニアを並行して受験する生徒も。

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CEFRレベルを確認すれば、英検と並行して他の英語資格にも挑戦しやすくなりますので忘れずに確認してみてください。英語塾キャタルの短期講習(毎年春休み・夏休み・冬休みに開催)では英検対策コースをご用意しております。英検対策でお困りの方や、英語学習にお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら気軽に英語塾キャタルにご相談ください◎