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はじめに:合格だけをゴールにしない学習設計
英検は 1 級から 5 級までレベルが明確に区切られているため、自分の現在地を測る指標としては優秀です。しかし「とりあえず次の級に申し込む → 不合格を繰り返す」という受験サイクルに陥ると、モチベーションを失い、英語そのものが嫌いになるリスクが高まります。英語塾キャタルでは「合格は通過点。レベルと目的に合った学習法を選び、実用力を伴う英語を育てる」ことを大切にしています。本記事では、英検対策でよくある誤解に触れながら、“本当に有効な”対策を解説します。
1. 誤解①「過去問だけで何度も受ければいつか受かる」
過去問演習は試験形式に慣れる“予行演習”として確かに有効です。ただし同じ級で 2〜3 回連続して不合格なら、演習回数ではなく弱点分析が足りていません。
- 語彙問題で失点 → 英和訳暗記ではなく、英英辞典+ Thesaurus で語義ネットワークを広げる。
- 作文で失点 → テンプレ暗記の丸写しをやめ、理由に具体例を添える訓練を行う。
- 時間配分で失点 → 模試の段階からストップウォッチで区切り、解答順を固定する。
2. 誤解②「単語はひたすら日本語訳で覚えれば良い」
英語と日本語は 1 単語=1 意味では対応しません。たとえば room は「部屋」だけでなく「余地」「機会」も表す語です。英和訳だけを覚えると、語の本質的な意味や使い分けが曖昧なまま残り、長文読解で細部を取りこぼします。書籍コラム「メソッド③ 英英辞典と Thesaurus のすすめ」が示すとおり、英英辞典を起点に “意味フィールド” を可視化し、類語辞典で言い換えを連想ゲームのように広げると、作文の語彙レベルも一段上がります。
これさえ読んでおけば英検直前対策バッチリ!おすすめ一次試験対策記事まとめ集(3級・準2級・2級・準1級・1級)[/box]
単語をひたすら暗記する
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3. 誤解③「まずは申し込んで場数を踏もう」
受験料は級が上がるほど高く、2 級は 9700 円。闇雲に落ち続ければコストも時間も失われます。不合格は自己効力感を下げ、英語嫌いを増幅させるリスクがあるため「模試で 8 割を安定して取れる」までは受験を先延ばしにして構いません。その間に不足技能を補い、合格体験を積み上げる正のループ を作ることが長い目で見て最短ルートです。
4. 目標を立てる前に“現在地”を数値で可視化しよう
まずは模擬試験か過去問を 1 セット解き、読解・作文・リスニング・語彙の正答率を算出してください。英検は CSE スコアを公開しているため、合否よりも 「技能別にどこが凹んでいるか」 が一目瞭然になります。合計点だけを見て受験級を決めると、得意技能で合格ラインをかろうじて超え、苦手技能を放置したまま次級に進む――という悪循環に陥りがちです。まずは凹みを認識し、そのギャップを埋める学習に資源(時間・費用)を集中させましょう。
5. バイリンガルに学ぶ“本当に有効な”対策とは?
英語を英語で学ぶ
これは、いきなり長文を精読したり、難解な英文を読み込むことではありません。たとえ50語程度の童話でもかまいません。大切なのは、英英辞典を使い、わからない単語を「簡単な英語で言い換えて書き留める」というステップを踏むことです。
時間がかかるように思えるかもしれませんが、訳語を日本語でメモするのではなく、英語の“定義”として記録することで、語彙の理解が深まり、頭の中に同義語ネットワークが自然と構築されていきます。このプロセスを繰り返すことで、語彙が“幹”ではなく“枝葉”として広がるような感覚が得られ、英語で考える力が育ちます。
インプットとアウトプットの反復
読んだ直後や聞いた直後に、たった30秒でも構いません。その内容を自分の言葉で言い換えることがポイントです。
たとえば、本やニュース記事を読んだあとにサマリーを音声メモに残す、YouTubeを1本見終えたら、コメント欄に英語で感想を書く。こうした“即アウトプット”を習慣化することで、受け取った英語が一時的な情報ではなく、自分の所有物として定着していきます。
五感と感情を総動員する
単に頭の中で英語を処理するのではなく、身体を動かしながら英語に触れる体験が記憶の定着を大きく助けてくれます。
たとえば、英語の料理動画を見ながら実際に料理してみると、匂いや温度、味覚といった身体感覚が語彙と結びつき、語彙の記憶が圧倒的に強化されます。
また、キャタルの教室で導入している音源付きの英語小説も同様です。登場人物の感情曲線を追いながら読むことで、“読書=共感体験”となり、英語学習がただの情報処理ではなく、クリエイティブで心を動かす活動へと変わっていきます。
6.レベル別・最適学習ルーティン
● 中学レベル(英検5級〜3級)
フォニックス → 絵本多読 → 英語で日記3行
このレベルでは、英語を音から理解する力と、日常的に使える語彙の定着を目指します。まずはフォニックスでアルファベットの音とつづりのルールを感覚的に習得し、そのうえで英語の絵本を多読して、シンプルな語彙・表現を大量にインプットします。
多読に慣れてきたら、1日3行の英語日記を始めましょう。内容は簡単なことで構いません(例:I played soccer. It was fun. I want to play again.)。自分の言葉で表現する習慣が、ライティングとスピーキングの土台になります。
● 高校受験レベル(英検準2級)
教科書シャドーイング → 意見作文80語 → Rewritesで添削
準2級を目指す時期には、「聞く・話す・書く」力をより実践的に結びつけて使う練習が必要になります。まずは学校の英語教科書を使ったシャドーイングで発音・リズム・抑揚を身につけ、音声と意味を結びつける力を育てましょう。
そのうえで、80語程度の意見作文(短いエッセイ)に取り組みます。Yes/Noの立場を明示して、理由を2つ述べる基本構成を守ることがポイントです。書いた後は、Rewrites(書き直し)を活用して、講師やツールからフィードバックをもらいながら語彙・文法・論理の修正と再構成を繰り返します。
● 大学受験レベル(英検2級)
長文多読1500語/日 → 160語エッセイ週2本 → Thesaurusで類語置換
2級レベルでは、語彙・構文の幅を広げつつ、社会的テーマに対して論理的に意見を述べる力を育てていくことが目標です。
毎日1500語程度の英文記事や長文読解に触れることで、アカデミックな語彙や構文を自然にインプットしていきます。そのインプットをもとに、週に2本ほど160語のエッセイを書き、主張+根拠+具体例のセットで論理的な展開を意識しましょう。
● 留学志向(英検準1級以上)
英語ニュース要約 → 200語分析エッセイ → ディスカッション動画撮影 → ネイティブと相互添削
このレベルでは、単に意見を述べるだけでなく、複数の情報を要約・分析し、自分の視点で議論を組み立てる力が求められます。
まずは英語ニュースを1本読み、要点を3〜5行で英語で要約する練習から始めましょう。それをもとに200語の分析型エッセイを書き、因果関係・統計データ・多角的視点を取り入れて説得力を高めていきます。
7 モチベーションを保つ3つの工夫
数値の見える化
ただスコアを記録するだけではなく、「週ごとにどの技能がどれだけ伸びたか」を色分けしてグラフ化することで、達成感が何倍にも膨らみます。
小さな成功体験
学習習慣を継続するための“潤滑油”。努力に対するご褒美を明確に設定し、ドーパミンによる快感を学習と結びつけます。
楽しみながら勉強する工夫
「学習」と「娯楽」や「趣味」を両立させることがポイント。好きな洋楽を耳コピしたり、推し俳優のインタビューを英語字幕で視聴して要約するなど、趣味×英語の組み合わせがモチベーション維持に効果的です。
まとめ:合格の先に“世界で学ぶ自分”を描く
キャタル式メソッドが目指す最終ゴールは、TOEFL iBT 100 点相当=「世界レベルの教育を英語で受けられる力」。英検はそこに至る途中の“登竜門”にすぎません。自分の夢やキャリアと英語を結び付け、五感や感情を駆動させながらインプットとアウトプットを重ね続ける──このサイクルを楽しめたとき、英検合格は必然となり、その先のステージでも英語があなたの武器になります。